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新しい時代のWebデザイナーに求められる「ロジカルシンキングの力」!

はじめに

クリエイターに特化したビジネス書があってもいいじゃないか――。
仕事に関わる技術やキャリアだけでなく、疲れが取れる休み方、遊び方などの体調管理など。人生を効率的に・豊かに過ごすための「生活術」や「仕事術」をクリエイターの実例を通じてお伝えしていきます。

【執筆者】
Webデザイナー・UXUIデザイナー・Webディレクター
服部 健一郎
広告制作会社にて、大手広告代理店のナショナルクライアントを中心にSoftBank、HONDA、Panasonicなどのデザインチームに約7年間在籍。ONE SHOW、CANNESLIONS、ADC、BtoB産業広告賞などの入賞作品への参画。広告批評、ブレーン、アドセレクト、文字とビジュアルの良い関係グラフィックスなどの業界誌や書籍などへの掲載。2009年にクリエティブプロダクション株式会社ポイントを設立。

VUCAの時代(変動性が高く複雑な時代)においては、クライアンが抱える課題が複雑化するのも必然と言えます。また、プロジェクトが大きくなることで関係者が多くなり、社内外を巻き込んだチームで動くケースも増えてくるでしょう。 

そういった複雑な状況下だからこそWebデザイナーに必要となるのが「ロジカルシンキングの力」です。それではこの「ロジカルシンキングの力」とはどういったものなのでしょうか? どういったシーンで必要になってくるのかなど含め、詳しく解説していきます。 

◆なぜWebデザイナーに「ロジカルシンキングの力」が必要なのか? 

ロジカルシンキングできていますか?

◎新時代のWebサイト制作におけるデザイナーの役割

新時代のWebサイト制作におけるデザイナーの役割はズバリ、言語化しづらい理想像(デザイン)をたたき台として提示し、最終的なチームの目標となる「機能するデザイン」につなげることだと考えています。つまり、プロジェクトの早い段階で目指すべきゴールや理想像(デザイン)のたたき台を提示して、関係者間で共有し、建設的な議論をできるようにする役割です。 

【KEYWORD】
理想像の提示
目指すべきゴール・理想像を、たたき台やモックアップとしてデザインで提示。たたき台があることで目的に向けた効率的な議論ができるようになり、個人の力を集約できる。
機能するデザイン
ユーザーにきちんと伝わるデザイン。ユーザーが使いやすい機能美のあるデザイン。

 ●「理想像の提示」は主体的な立場から生まれる
近年、トレンドの移り変わりのスピードは、今までにないほど早くなりました。もちろん、クライアントも事業ピポッドをはじめ、色々な施策を打ち出しています。こういった背景からクライアント側としても、わかりやすいオリエンテーションを実施して、課題設定もしたうえで「よりよい正解をより安く受託できるか」ということが通じなくなってきました。

求められているのは、課題を一緒になって見つけてくれる、考えてくれる主体的な人です。そうなると「デザイナー = アート領域」という考え方でなくなってくるのも必然と言えます。

 ●「従来のデザイン制作」と「理想像の提示」の違い
旧来までのデザイン制作では、すでにクライアントの課題が整理された状況で、デザイナーは受け身の立場で「アート担当」や「作家」としての扱いを受けてきた場面も多かったように感じます。

しかし、これからのデザイン制作では、理想像を提示するうえで、俗人的なフローによるインスピレーションや思い付きからデザインをつくれるものではありません。「どこに課題があるのか」「ユーザーは何を求めているのか」などを主体的かつ論理的に示さなくてはならないからです。

◎クライアントと伴走するために欠かせないロジカルシンキングの力
主体的な姿勢の重要性に気づいた読者の方々に、ここだけの話として、土台づくり(理想像の提示までのステップ)について解説させていただきます。 

大まかにお伝えしてしまうと、クライアントの業界や時代背景をテンポよく整理し、プロジェクトを推進するうえでのユーザーのメリットを踏まえ、素早く「理想像の提示」までまとめ上げていきます。 

「そんなこと、すぐにできるか~!」と言われてしまいそうですが、順を追ってこのステップを続けていけば、いずれ身に付けられる素養であることは間違いありません。そして、このステップのなかで何よりも大切になってくるのが「ロジカルシンキングの力」なのです。

◆ロジカル・非ロジカルなWebデザイナーの違い

ロジカルなデザイナー、非ロジカルなデザイナーを対比で見てみます。

「デザイン」と聞くと“感性”や“芸術性”をイメージする人も多いかもしれませんが、論理的な説明ができなければ、プロジェクトやチームを迷走させてしまうかもしれません。そうならないためにも、「ロジカルシンキングの力」を育むことが大切です。 

それでは、デザイナーに求められる「ロジカルシンキングの力」がどういったものか、ロジカルなデザイナー、非ロジカルなデザイナーを対比させながら見ていきましょう。 

◎CASE 1. サイト制作を依頼された際の「アウトプットの違い」

 ●ロジカルシンキングが備わっているデザイナー
▶検索流入からのユーザーの導線を意識したうえで、「ユーザーの立場」になったアウトプットになっている。あるいは、クライントやディレクターと一緒になって「ユーザー視点になっているか」議論できている。 

▶コンセンサスを可視化するための定義を自分なりに理解し、客観的な判断で立ち回ることができる。 

●ロジカルシンキングが備わっていないデザイナー
▶自分の好きなトンマナを軸足に据えたうえで、「自分の立場」で参考サイトなどをもとにクライアントやディレクターに提案してしまう。

▶そうなった場合「アート担当」という立ち回りになることが増え、ユーザー視点が抜けて元々のコンセプトや課題解決の施策などとデザインの間に乖離が生まれてしまうことも。

◎CASE 2. サイト制作を依頼された際の「コミュニケーションの違い」 

●ロジカルシンキングが備わっているデザイナー
▶順序立てた思考をもとに理解・解説できるため、特に開発プロセスに入った際に力を発揮していただけるエンジニアの方との協議が容易になる。
 
▶なぜその機能が必要であるのかを、本質ベースで協議することができる。そのため、プロの意見として「こうあるべきだ」ということをエンジニアの方からいただいた場合、本質からズレていなければ柔軟に「ユーザーの立場」で受け入れられる。
 
▶自身やクライアント、ディレクターが知り得ていなかった方法などにも耳を傾けられるため、「ユーザーの立場」でチームとしてのまとまりや結束力が生まれる。

 ●ロジカルシンキングが備わっていないデザイナー
▶順序立てた思考に基づいた説明ができないため、「自分の立場」で俗人的に誰かを槍玉に上げてしまう。

 ▶開発プロセスに入った際、エンジニアの方との協議が複雑になる。機能の必要性を説明する際、感情論や「本当は良いと思っていないけどやってほしい」などのNGワードを連発してしまう。

 ▶出し戻しが発生した際に、取り返しのつかなくなりそうな「自分の立場」での曖昧な表現が出てきてしまうため、関係者と建設的な協議ができなくなってしまう。

 「理想像を提示する」ために主体的な姿勢は大切だと記載しました。しかし、コミュニケーションで大切なのは、相手の立場になれるかという客観的なロジカルシンキングです。建設的で寛容な気持ちで取り組んでいけるとGoodです!

◆Webデザイナーがロジカルシンキングを身につける方法

どうやったらロジカルシンキングって身に付くの?

実際にロジカルシンキングの力を向上させるためにはどんな方法があるのでしょうか? おすすめなのは、数字に関わる管理を日々コツコツと実施してくいことです。

◎「日報」にヒントがある!すぐに実践できるロジカルシンキング力向上の方法

ロジカルシンキング力を向上させる具体的な方法として、「時間力」「質問力」「成長力」の視点から“日報”を書くことを実践してみてください。それぞれの目的や書き方については次の通りです。

●【時間力】進捗状況を客観的に把握し、時間への感覚、稼働における精度向上を図る

最優先事項として、その日のタスクを社内共有されているスケジュール表に明記します。届いたメールなどに焦って対応しがちですが、タスクが複雑化してくると返信だけで半日以上を消耗してしまうことも。プライオリティをつけ、タスクにかかる時間を客観的に把握する力を養い、日々、その精度を上げていきます。

●【質問力】不明点への対応策とだれにお願いするかの見極め、質問の精度向上を図る

毎日大なり小なり自分一人では対応しきれないタスクが発生するものです。特に経験の浅い方であれば、一人で対応できないタスクや不明点に対して不安を感じることもあるかもしれません。

焦らず自分のできること・できないことを理解し、ただ「わからないから教えてほしい」ではなく、「こうやって実施してみたが、こういった箇所でつまずいている」などを日報に記載しましょう。具体的(論理的)な話し合いに必要な、「情報を整理する力」が養われ、結果、質問の精度が上がることで、多忙な先輩との良好な関係性が構築されていきます。

●【成長力】今日意識した点を明記し、日々の成長の積み重ねを図る

毎日大なり小なり自分一人で解決できたことには喜びを感じられ、自身のパフォーマンスも段階的に向上しているものです。しかし、いつの間にか「こなし作業」になってしまっているケースも多く見受けられます。

どんな仕事であっても、少しずつ向上するためには結果だけでなく、プロセスにフォーカスすることも大切です。今日意識して取り組んだことがどう結果につながっているのか、日々それを論理的に分析しましょう。管理職の方も一緒になって取り組んでいただくと、とても良い効果につながります。

◆ロジカルシンキングの力はコツコツ育むことが大切

旧来型のデザイナーは、ひとつのスキルを習得して、それを軸足に5年、10年かけてだれかの下について成長していくことが一般的でした。しかし今は、新しいことにチャレンジし続けていかなければならない時代に突入しています。そんな時代に必要とされているのは、やはり「考える力を備えたデザイナー」ではないでしょうか。だからこそ、今回「ロジカルシンキングの力」の必要性について繰り返し解説させていただきました。

ロジカルシンキングは特別な才能や若いうちしか身につかない類のものではありませんので、焦らず日々着実に積み重ねていくことをおすすめします。

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