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カスタマージャーニーは「直感的」が鍵!UXデザイナーが読み解くユーザー心理

はじめに

全部読むと"集客できる"Webサイトが作れる――。そんな記事を目指して。
成功しているクリエイターの実例を通じて、クリエイターの考え方や技術についての知識をお伝えしていきます。

【執筆クリエイター】
デザイナー・エンジニア・広告セールスマネージャー
株式会社エニィ代表取締役
阿萬 真紀 
デザイナー、エンジニア、マーケターの経験を活かし、経営戦略からWEB企画(制作・開発・広告) までを幅広く担当。企業コーポレートサイト、ロゴデザイン、ブランディング、開発ディレクション、アニメーションなど現場でのデザインと実装など対応領域は多岐にわたる。新規事業立ち上げやコンサルティングの経験も豊富。3児の母。透き通った心で、明るい未来を描き、美しい世の中をデザインするために活動中。

前回のNo.10の記事では、成功するWebサイト制作における「なんとなく」と「定量的なエビデンス」の融合について説明しました。時にスピリチュアルな感覚をメンバー間で共有し、さらにそれに裏付けが取れると上手くいきやすいという話でした。今回は、その裏付けの部分について紹介します。Webサイト制作においてシナリオ設計を実施するUXデザイナーの方はたくさんいるはずですが、その中でカスタマージャーニーの活用が有効であることを説明します。

“売れる”“人が集まる”Webサイトにおいては、ユーザー(消費者)がどう行動するかがきちんと設計されているケースが多いでしょう。つまり、ユーザーの好みや趣向を心得たうえで、Webサイト内にそれに対する分かりやすい道筋を作ることがUXデザイナーの大きな役目です。そのためには、まずはペルソナを明確に設定して、ユーザー心理を丸裸にすることが求められます。

◆UXデザイナーの指針となるのが「リアルなペルソナ像」

UXデザイナーがWebサイト制作において、一番気にかけるべきなのはもちろんユーザーの存在です。Webサイトを実際に利用するユーザーの存在なくしては、ビジネスは成り立ちません。ただ、「ユーザーを意識する」と言葉で表現するのは簡単ですが、実際のユーザーの視点に立ってWebサイトを設計することは非常に困難なことです。だからこそ仮説立てが重要であり、ユーザーを想定した「ペルソナ」の設定が欠かせません。

ペルソナとは、ユーザーとなり得るターゲット像を想定して人格を仮説立てることです。ユーザーを想定した人物像を作り上げ、WebサイトにおいてはUXをさらに向上させるための施策と言えます。つまり、ユーザーを深く理解し、ユーザーのニーズを正確に把握するために行うのがペルソナ設定です。ペルソナを設定することでWeb制作においてもメンバー間で共通認識を持ちやすくなります。

ただ、気をつけるべきはペルソナの設定が曖昧だったり、精度が低かったりするとあまり意味をなさないということです。ユーザーの真意を知るために行う手法なだけに、「リアルなペルソナ像」を構築することは大前提となります。ペルソナがユーザーのリアルに近ければ近いほど、UXデザイナーにとってもWebサイトのUXを意識するうえでの指針となるでしょう。

◆ペルソナの行動を可視化するのが「カスタマージャーニー」

WebサイトのUXを意識するうえで欠かせないリアルなペルソナ像ですが、作成後の次のステップとしては、何をすべきでしょうか。その答えが「カスタマージャーニー」です。カスタマージャーニーとは「顧客の旅」と直訳されるように、ペルソナの行動を時系列でまとめてフェーズごとの施策を明確にすることが目的となります。カスタマージャーニーを整理し、「カスタマージャーニーマップ」として仕上げることで、ペルソナの行動の全体像がつかめ、それに基づいた施策を実行しやすくなり、最終的にはUXの精度が高まります。

たとえば、前章のようなペルソナを設計した場合では、その行動を想像し、可視化してマッピングします。カスタマージャーニーを行ううえでは精密であることももちろん重要ですが、直感的に分かりやすい・イメージしやすいことが大前提です。文章は短く簡潔にし、図や絵を多用するとメンバー間で共通認識を持ちやすくなります。

ポイントとなるのはカスタマージャーニーマップは「縦軸」と「横軸」で構成される点です。横軸には「認知」「興味・関心」「比較検討」「購入」を書き、縦軸には「行動・タッチポイント」「思考」「感情」を記入。マップを一目見れば、ペルソナの行動や思考、感情などがすぐにイメージできる形が理想です。

◆カスタマージャーニーの想起には「デザイン思考」を活用

シナリオ設計する際にカスタマージャーニーを利用し、ユーザーの行動の可視化もマップを作成することでより具体的なイメージができるでしょう。しかし、UXを考えるうえでは、カスタマージャーニーを完成させたことで思考を停止してしまってはいけません。UXデザイナーがさらにユーザーの視点に近づくためには、「デザイン思考」をフル活用しましょう。

デザイン思考とは、デザイナーの思考プロセスを活用してビジネス課題を見つける手法です。作成したカスタマージャーニーが必ずしもユーザーとマッチしているとは限らないので、常にPDCAを回したうえで、時にはカスタマイズも重要になります。デザイン思考では「共感→定義→概念化→試作→検証」のサイクルを繰り返すことで最適解を探るので、カスタマージャーニーが実際のユーザーとマッチしなかった場合の再考の時に、考えを巡らせるうえで役立つでしょう。

ビジネスにおいて仮説立ては非常に重要なファクターです。よりその精度を高めるためにも、メンバーに直感的に理解してもらうためにもカスタマージャーニーを活用しましょう。また、カスタマージャーニーを再考する際には、デザイン思考を用いるとユーザーに対する理解の深度がより深まるはずです。UXデザイナーはユーザー心理を理解することが仕事の醍醐味なので、これらの施策をいろいろと試してみてください。

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