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「肌で感じていますか?」Webデザイナーのインプット術。【街はネタで溢れている!】

はじめに

クリエイターに特化したビジネス書があってもいいじゃないか――。
仕事に関わる技術やキャリアだけでなく、疲れが取れる休み方、遊び方などの体調管理など。人生を効率的に・豊かに過ごすための「生活術」や「仕事術」をクリエイターの実例を通じてお伝えしていきます。

【執筆者】
Webデザイナー・UXUIデザイナー・Webディレクター
服部 健一郎 
広告制作会社にて、大手広告代理店のナショナルクライアントを中心にSoftBank、HONDA、Panasonicなどのデザインチームに約7年間在籍。ONE SHOW、CANNESLIONS、ADC、BtoB産業広告賞などの入賞作品への参画。広告批評、ブレーン、アドセレクト、文字とビジュアルの良い関係グラフィックスなどの業界誌や書籍などへの掲載。2009年にクリエティブプロダクション株式会社ポイントを設立。

インプットは「勉強のため」という杓子定規なことだけではなく、自分よがりにならないためにも大切なことです。また、ハイクオリティなデザインを維持し続けるうえでは、有名な作家さんやアーティストさんへの依頼も欠かせません。その際、日々のインプットによってフィットする方がパッと浮かぶことも多々あり、本心からリスペクトをもってアサインすれば、承諾していただけるケースは多いです。 

このように、Webデザインにおいて日ごろのインプットはとても重要な役割を担います。しかし、いざ「デザインのインプットだ!」と意気込んでも、どこから情報を得ればいいかと悩むこともあるでしょう。大切なのは、気軽に広く情報を得ること、そして「肌で感じる」ことです。 

◆デザインの「インプット」は、カジュアルでいい

 「インプット」や「勉強」と聞くと、少し大変そうな印象を抱く方もいるかもしれません。私が考えるインプットや勉強はもっとカジュアルで、気軽な入りでよいと考えています。また、好き嫌いも、深く考えなくてよいと思います。 

そう考えるようになったのは、自分がまだ20代の頃の、ある経験があったからです。 

◎パソコンにすら触らせてもらえなかった駆け出しの頃

私が駆け出しの頃、すごくハイレベルなチームに参画させてもらったことがありました。私の能力は一番下なもので、3ヵ月間パソコンを触らせてもらえず、「資料探し係」というひたすら本屋さんに行くというタスクを任せていただくことになりました。本屋さんにいる時間がとにかく長く、関心がない本も自然と探したり、読んだりすることにもなります。 

もちろん、「自分で何かをつくりたい」と思っていた私には、少なからず後ろ向きの気持ちがあったのも事実です。 

◎頭の片隅にあったものが興味や知識に変わった瞬間

駆け出しの頃は、知識や技術を吸収するうえでは、「自分自身の好きなものが大切」などと考えていました。ただ、興味がない本を探したり読んだりする経験を重ねたことにより、今までは重要だと思っていなかったことが、すごく重要であったことに気づけたのです。 

当時の先輩たちとの打ち合わせのなかで、写真家さんやアーティトさんの名前が飛び交っていたとき、無意識のうちに頭の片隅にあったものが、興味や知識に変わる瞬間を体感しました。そういった積み重ねにより、自然と自分の引き出しも増え、少しずつ発言させてもらえるようになったのを覚えています。 

まずは質よりも量を大切にし、好きか嫌いかも気にせずに、カジュアルに本屋さんに立ち寄ることをおすすめしたいです。 

◆Webデザイナーにおすすめのインプット方法!①【書籍・雑誌編】

本のタイトルや背表紙に書かれたキャッチも引き出しになるよ。

デザインやお客様からの用件の整理で悩んでいるときに限って、自分の意向通りの本が見つからないケースは「あるある」ではないでしょうか。困ったときに「アレがあったな!」みたいな感覚を維持できるように、時間があれば本屋さんに足を運んでみてください。おすすめなのは、いろんなコーナーを見て、気になっていない本も含めて斜め読みすることです。

 ◎Webデザイナーが本屋さんで立ち寄るべきおすすめコーナー 

●写真作家さんのコーナー
あまり写真を見ない方には、デザインと直接どう関連があるのか定かではない部分もあるかもしれません。活字や具体的でないことにより、雰囲気や世界観の引き出しを増やしたり広げてくれたりと、写真には価値観を豊かにしてくれる要素がたくさん含まれています。 

●カルチャー誌コーナー
記事としての最近の流行はもちろん、デザインとしての色、フォント、レイアウトなどをなるべく具体的に観察しています。やはり文字量の多い構成を綺麗に読みやすく構成しているエディトリアルデザイナーさんは、素晴らしいなと感心することが多いです。 

●ファッション誌コーナー
ファッションなどから配色やカラー、バランス、シルエット、ディティール、フォルムなどを観察しています。ファッション誌はほかの雑誌に比べ、雑誌の体裁やレイアウトが大胆なものも多く、実験的な印象を受けます。特に洋書のファッション誌はお金が掛かっているものも多いためおすすめです。そういった意味では、洋書コーナーは特におすすめですね。あまり日本のエディトリアルデザイナーさんがやらないような大胆なレイアウトなども多いため、とても参考になると思います。

 ●新書コーナー
あまりこだわりを持たず、新書など幅広く見ておくことも大切かなと思います。デザイナーやディレクターなどは、「ビジネスマンと少し離れた業界にいる人間」と思われてしまうこともあります。しかし、やはりクライアントあってのお仕事となりますので、その先にある社会の動向に目を向けることはすごく重要です。 

◆Webデザイナーにおすすめのインプット方法!②【街中編】 

街中どこもかしこもにデザインは溢れている!

◎雰囲気や熱量を「肌で感じる」ことの大切さ
服が好きということもあり、私はよくアパレルショップでトレンドのカラーやシルエット、素材感などもチェックしています。さらに、来店しているお客さんの雰囲気など「肌で感じる」ことをとても大切にしています。というのも、「トレンド」が人や街の雰囲気を変えているのではなく、人や街の雰囲気によって、「トレンド」が変わるからです。

 沖縄の人が陽気だったり、北海道の人が思慮深かったり、トレンドは人や街(土地柄)が生み出していると感じています。その考え方の参考になる『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』 (草思社文庫)という本があります。説明すると壮大になってしまうため、詳しくはぜひこの本をチェックしてみてください。 

◎飲食店もインプットの宝庫

上手くいっている理由を探ろう!職業病になるよね。

昔から繁盛している定食屋さんの店頭看板などは、そのお店の“らしさ”や、繁盛のエッセンスが詰まっていて参考になります。上手くいっているお店には、上手くいっている理由がちゃんとあります。 

●お蕎麦屋さんの看板
繁盛しているお蕎麦屋さんの看板は、遠くから見てもわかるような大きさ・位置に配置されています。当たり前のことのように思えますが、状況によって適性のサイズや位置は変わります。視認性というごく当たり前のことをしっかりできているというのは、実はすごく大切なことなんです。

●お蕎麦屋さんのショーケース
ショーケース内のお蕎麦のモンタージュが、少しだけ斜めになっていたり、子供向けのモンタージュは下のほうに配置されていたり、マスコットキャラクターが添えてあったりします。こういった小さな心配りは、デザイン制作でも大きな差につながることがあります。

●居酒屋さんの看板
繁盛している居酒屋さんの看板は、ちょうど良い明るさで照らされています。明る過ぎるとなんだか派手だし、暗過ぎると見えないし……。やはりちょうど良い心境とマッチする明るさを捉えています。 

●居酒屋さんの店内
酔っている顔を見られたくない、大声を出しても目立たないなど、照明やBGMのボリュームなどにも気配りがあります。楽しくなりたい気分を自然にサポートする仕組みや、解放された気分になれる雰囲気づくりなどに配慮があるお店ほど、やはり繁盛しています。 

●お店の方の“リズム感覚”
お店の方のリズム感覚も参考になります。このリズム感覚というのは、行列やサーブまでお待たせしているときなどの配慮のことです。デザインでもすごく大切で、たとえばユーザーにとっての導線や機能を考えるうえでのストレスコントロールなどにも役立ちます。 

また、たとえばクライアントがオンラインメディアを扱うのが初めてだった場合、機能を途中で変更する大変さをご理解いただけていないケースがたまに見受けられます。そうなった場合、なるべくテンポ良く進めるためには期待値をコントロールすることが重要です。 

後々トラブルにならないよう、できないことはなるべく角が立たないように、理由をお伝えしたうえで敬意を払って対応する。その際に、このリズム感覚はとても参考になります。 

◎高架下のストリートアート
人の迷惑になるのはナシですが、高架下のストリートアートは個人的にとても好きです。求められていないことを正当化しようという意欲はすごいなと思います。カウズやバンクシーみたいに、突き抜けてしまうようなこだわりや熱量をもって、デザインと向き合うことは大切にしたいですよね。

◆インプットで大切なのは「肌で感じる」こと

デザインするうえで、私はロジカルな要素を会社でもすごく大切にしています。一方で、肌感覚でないと得られない、世界観などの感性に関わる部分では、質感や雰囲気をとても重視しています。 

以前ニューヨークで、有名なミレーの《落穂拾い》を見たとき、写真よりもリアルだと感じました。この雰囲気を言語化するのは難しいのですが、こういった体験の積み重ねは、デザイナーにとって必要なことです。抽象的な部分での世界観を広げる際に、重要なエッセンスになります。 

オンラインメディアなどの参考事例はもちろん、いろんな角度から“カジュアル”に、デザインのインプットに取り組んでみてください。

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