印象論はNo! Webディレクターのデザイン依頼のポイントは「イメージの視覚化」
はじめに
全部読むと"集客できる"Webサイトが作れる――。そんな記事を目指して。
成功しているクリエイターの実例を通じて、クリエイターの考え方や技術についての知識をお伝えしていきます。
どんなWebサイトを作るにしても、そのビジュアルは重要なファクターになりますよね。Webサイトはファーストビューで受ける第一印象で、その後のページが読まれるかどうかが決まると言っても過言ではありません。そのため、どんな見た目のWebサイトにしたいのかを明確にすることは、Webディレクターにおいても重要なタスクだと捉えています。
制作段階においては、Webディレクターは顧客とデザイナーとの仲介役を務め、それぞれのビジュアルに関する意思や意見を伝達することが役目です。ユーザーは訪れたWebサイトを見て「何となくカッコいい」など印象論で判断するものですが、制作側はそれと同様の考えではいけません。ビジュアルにおける抽象的なイメージをきちんと視覚化することが不可欠です。
◆Webディレクターは「顧客の何となく」を視覚化するのが仕事
そんなWebディレクターはほとんどいないとは思いますが、Webサイトのビジュアルを決める際に絶対にやってはいけないのは顧客の言葉を鵜呑みにすることです。たとえば、「カッコいいデザインにしてほしい」という要望があったとしましょう。でもこの「カッコいい」という言葉は、Webディレクターである自分の認識と顧客の認識は異なるはずです。さらに言えば、その後に制作するデザイナーの認識も恐らく違うでしょう。このように言葉だけでテイストを決めるのは非常に危険なのです。
自分が徹底しているのは、「目で見えるもので共通認識を取ること」。さきほどのカッコいいならば、「顧客の考えるカッコいいはこの参考サイトのようなデザイン」という風に言質を取ることが大切です。言い換えるなら、「顧客の考えるカッコいいはこのデザインです」と見た目でデザイナーに共有できるように視覚情報として伝達できるようにしています。つまり、「何となく抱いているイメージを視覚化すること」です。
人間は誰もがそれぞれの価値観や感性を持っています。相手が抱いている感覚を明確に理解することは非常に難しいので、参考サイトなど揺るがない視覚情報を必ず活用するようにしています。そうすることで、Webディレクターである自分自身も「顧客の考えるカッコいいとは何か」を視覚化したうえでデザイナーに共有できるのです。
◆Webデザイナーへの依頼には「緩急をつける」がポイント
顧客とのすり合わせで何となくのイメージを視覚化することができたら、次はデザイナーへの依頼になります。デザイナーとのやり取りに関して意識していたのは、スタンスを明確にすることです。自分はデザインにおいて譲れないところは従ってもらうし、自由にやってもらうところはお任せするというスタンスを取っています。「緩急をつける」ではないですが、顧客の要望やWebサイトの機能的に決まっていることは変更を認めませんし、それ以外のクリエイティブに関してはむしろ全部お任せする感じです。
自分の考え方として、デザイナーの仕事は「デザインすること」であり、単に言われたことをカタチにするのとは違うと思っています。後者だとデザイナーではなく、「単なる作業者」に成り下がってしまう恐れがあるように感じます。それはデザイナーだけではありませんが、クリエイティブを生業にする人が作業にだけ徹してしまうのは非常にもったいないことなんですよね。
自分はデザイナーにデザインをしてもらいたいので、基本的には全体イメージやテイストはしっかり伝えますが、基本的にクリエイティブはお任せするやり方を採用しています。もちろん、メインビジュアルや全体のテイスト、メインカラーなど譲れない部分は具体的なオーダーをします。締めるところは締めつつ、お任せするところはお任せする感じです。丁寧な説明と両者間の納得を重視したうえで対応してもらっています。
◆デザインチェックの際の注意点は「説明材料」があるか否か
基本的にデザインは、デザイナーのクリエイティブにお任せするスタンスではあるので、デザインチェックにおいてはそこまで厳密に見ているわけではありません。ただ、デザインを顧客に提出する際に、自分が納得して伝達できる「説明材料」があるかには気を配っていますね。デザインを見て、Webディレクターである自分がその理由や意図を説明できない場合は、デザイナーに詳細を確認することを徹底しています。
たとえば、トップデザインを見て、自分が気になったことに対して色やテイストについて、「なんとなくこうした」「おさまりが悪かったからこうした」みたいな答えだとしたら、自分も顧客に説明できません。デザイナーの言葉通りに説明したとしても、顧客は絶対に納得しませんよね。「なんでこの色なの?」という質問に対して、「何となく」なんて口が裂けても言えません(笑)。
つまり、クリエイターとしての根拠を持ってデザインをしてくれていたかどうかをチェックしています。その根拠が明確であれば、顧客への説明も俄然、説得力が増します。だからこそ、説明材料があるかどうかをしっかりチェックし、デザインに関するデザイナーとの共通認識を持ったうえで顧客提案することを自分の中ではマストとしています。
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