“カッコイイ”でモテるのは最初だけ……?ホストから学ぶクリエイターの流儀
はじめに
クリエイターに特化したビジネス書があってもいいじゃないか――。
仕事に関わる技術やキャリアだけでなく、疲れが取れる休み方、遊び方などの体調管理など。人生を効率的に・豊かに過ごすための「生活術」や「仕事術」をクリエイターの実例を通じてお伝えしていきます。
とあるホストクラブで代表を務めている方をフィーチャーした動画を見ていて、採用や教育における考え方がとてもしっかりしているなと思い、その方の別の動画も観るようになりました。私がホスト(動画)にハマったきっかけはこういった経緯になります。
その方はキャリアも長く、短期的に辞めてしまう人が多いホスト業界で皆勤賞だったり、一定の高売上を保ち続けていたり、水回りの掃除に余念がなかったり、後輩にも敬意を払っていたりなど、ビジネスマンとしても超一流であることがわかります。
「一流のクリエイターを目指す」と考えたとき、スキルや経験にフォーカスしがちです。しかし、実は業界の最前線で生きていくうえでは“ホスト力”がとても重要なファクターを担います。今回はクリエイターが備えておくべきこの“ホスト力”について解説していきます。
ホストになって指名をもらおう
駆け出し時期の方に特にお伝えしたいのが、「社内の中で自分の希望する仕事をするためには、指名されることが必須」ということです。
最初から選んだりするような横柄な態度は禁物ですし、頼んでいただける営業の方、プロデューサーの方などには敬意を払い、次回もお願いしたいと思えるようなケアもすごく大切です。
関係者にとっての気分の良さは、次の案件指名の取っ掛かりになります。シンプルですが、これが売れっ子デザイナーの秘訣なのかなと思います。
クリエイターが備えるべき“ホスト力”とは
以前、こちらの記事で、Webディレクターに大切な要素として「可愛らしさ」が大切であることを紹介しました。
可愛がられるという人間性は、ビジネスにおいてもとても重要だと考えています。ただし、あくまでホストは受け身であり、“ホスト力”は人を楽しませる種類の中でも「高度なカウンター」のような繊細な能力だと私は理解しています。受動的に相手を楽しませるということは、主体的に楽しませるよりも、想像以上に大変であるケースが多いということです。
数少ない情報の中から相手が欲しい言葉を選び、欲しいタイミングで提供できなくては次回指名してもらえません。それは、会社内におけるクリエイターと営業の方(あるいはプロデューサーの方)との関係性でも同じことが言えます。
人は論理的であり感情的
一緒にいることで心地良いと感じてもらう――こういった相手を主体とした場のつくり方は、仕事をするうえでも欠かせない要素です。人は論理的であるようで、かなり非合理的な感情論で決済をするケースも多いため、「ホスト」という裏方舞台としての能力が大切です。
「カッコイイ」「イケメン」「男らしい」などの雰囲気づくりはあくまで入り口です。クリエイターに言い換えるなら、「スキルがある」「センスがある」などになるかもしれませんが、売れ続けるためには相手への思いやりなど、人間としての本質的な部分での能力や洞察力を鍛える必要があります。
まずは“ホスト力”向上の基本を押さえておこう
“ホスト力”がどんなものかご紹介してきましたが、次にその能力を伸ばす基本的な方法を解説していきます。
断らないこと、面倒なことを率先してやること
まずは可能な限り断らないというスタンスが必要です。もちろん、無茶なことやプライベートに差し支えがある場合は除きますが、断らない人に人は話をしたくなる生き物です。
あとは、あいさつや掃除など、人の視界に入る日々の努力は本当に大切です。
「面倒なことは、自分がやることではない」
「自分がやりたいのは、こういったことではない」
そういった見切りをつけるような発言をするのは、自分がすごく偉くなってからすべきだと思います。ただし、前述したホストの方のように、偉い人ほど小さなことに気を配っているので、いずれにしろ人がやりたがらないようなことをコツコツやっていく必要があるのかなと思います。
人の役に立つことで充足感を得られる精神を育む
もう少し具体的に、私がホスト力を高めるために行っていることをご紹介します。
私の個人的な趣味にもつながるのですが、私はホスト力を高めるために、よく飲み会を主宰しています。メンバーは完全なる有志でやっていて、コロナ禍以前は、1回の飲み会で50~100人くらい集まることも度々ありました。
こういった飲み会でおもてなしをするためには、「ホスト」要素がとても重要です。たくさんの方に来ていただいたとしても、主催者サイドに入ってしてしまうと当日のあらゆるケアなどでお話する時間がかなり短くなってしまうこともあります。
次も来てもらえるように、盛り上がりの弱いテーブルでは声掛けをしたり、話しやすい人を近くに誘導したりと、あらゆる陰の努力を行っています。
正直、短期的なメリットだけを追求したらこういった活動を継続的に実施するのは難しいと思います。ただ、こういった経験からホスト力はかなり磨かれてきたのかなと感じています。
はじめは大きなイベントでなくても、少人数の幹事を仕切るだけでもすごく勉強になります。主宰する側になると、途端に今までとは違う景色が見えます。主体的かつ受動的に相手に楽しんでもらう方法を身につけるうえで多くの学びがあると思いますので、おすすめです!
「自己開示」と「褒め」もホスト力に欠かせないポイント
社内でもできるホスト力向上方法
株式会社ポイントでは、週一の朝会の中で、「最近気になるアウトプット」というお題で短いスピーチをしてもらっています(交代制)。
スピーチの内容は次の通りです。
スピーチを行ってもらう理由としては、お互いの素性がわかったほうが、お互いを好きになれるからです。やっぱり、人は知らず知らずのうちによく見られようとしてしまいがちですが、自分が会社の中でバリアを張らなくてもいいように自己開示していくことが大切。これもホストに通じるところがあるのではないでしょうか。
また、聞く側はスピーチする人に対して、2つフィードバックします。
1つ目は、「褒めポイント」です。必ず褒める所があり、褒めることで、両者にとってプラスのエナジーみたいなものが生まれます。
2つ目は、「自分に置き換えて気づいた点」です。最近、抱えていた課題などと結びつけたりすることで、ブレイクスルーが起きることもあります。
人から受けるインスピレーションは、時にサジェスチョンに変換できることがあるので、すごく手っ取り早い解決方法になることもあるのでおすすめです。
こういったことを続けていると、ホスト力が少しずつではありますが向上してきます。私としては、合宿などを行ってお互いを知る機会とするより、この方法が自分に合っていると感じます。
ホストが人を魅了するのには理由がある
クリエイターには大きく「ヒーロー」と「ホスト」の2つの要素が求められます。
ヒーローは、表方の舞台で圧倒的なパフォーマンスを発揮して現状を打破していくような要素で、ホストは、裏方の舞台で物事をより円滑に進めるためにもっとも重要な要素のことです。
ホストと聞くと、少し不埒な印象を抱く方も多いかもしれません。しかし私が見る限りでは、上手くいっているホストクラブは人を魅了するための努力はもちろん、人事、教育においてもすごく真っ当な考え方をもっています。本当に学べることが多いので、ご興味をもっていただけましたら、一度ウオッチしてみてはいかがでしょうか!
・・・
ーTwitter
ークリエイターキャリア支援メディア『HIGH‐FIVE』
ーLINE
ーInstagram