Webディレクターがぶつかる“意識高い系の横文字”。人に合わせて使う意識のほうを高めよう
はじめに
クリエイターに特化したビジネス書があってもいいじゃないか――。
仕事にかかわる技術やキャリアだけでなく、疲れが取れる休み方、遊び方などの体調管理など。人生を効率的に・豊かに過ごすための「仕事術」や「生活術」をクリエイターの実例を通じてお伝えしていきます。
WebディレクターやIT業界初心者がまずぶつかる壁のひとつに「業界用語の羅列」があるのではないでしょうか。正直言うと、私はそうでした。
CVR、CPA、バッファ、リバイス……
“ローマ字3兄妹”は似たようなものが多く、時々間違えそうになるし、カタカナの横文字を自分で発音するのはちょっと恥ずかしい気も。
これ使わないとダメ? 正直アレルギー反応が……。これって私だけ?
そんな業界用語について書いてみたいと思います。
ディレクションの現場でよく使う業界用語
最初はちょっと戸惑い、使うのをためらうことが多い「業界用語」。
しかし、知らなければ現場での話についていけません。
ここでは現場でよく使われる基本の業界用語をいくつか挙げてみましょう。
コンセンサス
意見の一致や、関係者の同意のことです。
また、了承や同意を得るために根回しすることも指しますが、単に了承や同意、という意味で使われていることが多いです。
バッファ
時間、データ、人について、余裕をもたせている部分を指します。
スケジュール管理の現場でよく飛び交う言葉です。
リバイス
改訂、修正することです。レギュレーションや原稿を新しいものにした際によく使用します。
ボトルネック
事業やプロジェクトの妨げとなる要因や要素のことを指します。事業戦略やスキーム構築の際に使用されます。
レギュレーション
決まりごと、遵守することをまとめたもの。規則や規制・制限・禁止事項などの意味で使われることが一般的です。また、Webサイトの統一感や整合性をとるためのデザイン現場でも使用されます。
アジェンダ
会議での検討課題や議題、あるいはスケジュール、計画、予定表のこと。 多くは議題として使用されている印象です。
スクラッチ
新しくゼロからつくることを指します。また、ゼロから開発することをスクラッチ開発といいます。 主にシステム開発(CMSなど)で使用されている印象です。同じような言葉で「フルスクラッチビルド」がありますが、こちらは完全オーダーメイドでの開発を意味するので注意しましょう。
業界用語を使う際の「トンマナ」
業界用語はIT業界でよく使われますが、かといってそれをどこでも使っていいというわけではないことを覚えておきましょう。
ちょっと難しいのですが、相手によっては嫌がられる場合もあります。
また使い慣れてくると、意図しない場面でついつい口をついて出てきてしまうこともあるものです。
横文字を使うシーン、また使う相手をどう見極めたらいいのでしょうか。
シーン1:話す相手が年配である場合→ある程度気をつけましょう
年配であるから業界用語を使わないという訳ではありませんが、私の経験上では、年配である程度の役職者は、外部との折衝や部下・社員の教育などを行っていることが多い印象です。
業界用語の飛び交う現場には、その部署の担当者がきちんといるものです。
そのため、業界用語にはあまりなじみがないのではないか、という私の憶測です。
話す相手が年配の方である場合には、最初はあまり業界用語を使わずに、様子をうかがいながら話すように心がけています。
シーン2:対面で製品や商品を販売している企業担当者→かなり気をつかいましょう
対面で製品や商品を販売している人とは、いわゆる「店舗販売」をされている人のことなのですが、こうした方々は業界用語の飛び交うことの多いプロモーションもアナログなことが多いものです。
例えば、チラシや新聞折込、ポスターなどがそれに当たります。
また、生命保険などの場合は飛び込み営業などもあるでしょう。
対面での販売だと、お客様をセグメントしづらいです。お店であれば、いつどんな層のお客様が商品を買いにくるのか予測できません。相手によって言葉を変える必要が出てくる職種でもあるでしょう。
逆に言うと、マルチな対応ができる方たちがこの業種には多い印象です。
そのために、凝り固まった用語を日常で使う、ということが考えづらいのです。
シーン3:ツーブロックの若いやり手の営業マン→いけいけゴーゴーでぶちまけてやりましょう
多くは語りません。
これは本当に私の経験の幅のなかでの、ただの印象です。
使うシーンに迷ったら「オウム返し」が鉄板!
まずは相手がどのようなタイプなのかを見極め、相手が横文字を使えば同じように、使わない場合にはそれに合わせること。
コツは「オウム」になること。相手に合わせるのです。
それには、まず相手をよ~く観察することです。もちろん、こちらも適宜相手と会話を交わしながら、どの程度の横文字を使うかを見極めること。
相手が使った専門用語は、そのあとも使ってOKとみなしましょう。
オウム返しをするのです。
「オウム返し」で“伝わる”ことが大切
また、オウム返しすることには心理学的にも有効な効果があります。
「ミラーリング」や「バックトラック」とも呼ばれる話法です。相槌を会話の合間のクッションとして入れると、「あ、この人は自分の話をよく聞いてくれているな」と良い印象を与えるものです。
好感をもってもらえる人というのはとても聞き上手です。
まずは、相手の言葉をオウム返しすること。
これをするだけでも、相手との「業界用語ギャップ」がだいぶ埋められます。
人は、自分が知らない用語を使われるのが好きではありません。私も同じで、ちょっと萎縮してしまったり、その言葉の前後の話の解釈ができなくなったりします。
話は「伝えたか」ではなく「伝わったか」が大事です。
言葉のキャッチボールで会話のリズムを取るのも大切ですが、自分よがりにならないように、しっかりと相手に合わせるようにしたいものです。
傾向的に経営者はアナログ思考が多い印象
これはあくまでも私の経験上の主観でしかありませんが、IT系ではない場合、中規模以上の企業を経営されている方は専門用語をあまり使わないケースが多くありました。
なぜなら、ITや広告などの専門部署がそれぞれあり、経営者の方が直接携わってない場合が多くあるからです。
ですから、そういった方々と話す機会がある場合には気をつかったほうが良いでしょう。
誰でもそうですが、知らない言葉を話されるのは気分が良くないもの。
特に年配の方からは煙たがられることが多いので注意が必要です。
会話よりも結果をすぐに知りたがる人もいる
社内の全体会議で上層部の方に現場での月次報告をするときや、クライアントへのプレゼン現場などで、よく「結果だけ教えて」という空気になりませんか?
実績が報酬に変わる営業マンや経営に関わる方たちは、分単位の時間を調整しながら仕事をしているものです。それが例え3日残業続きでつくり上げた資料であっても、苦手なGoogle Analyticsを解読してつくり上げた資料であっても、関係ないのです。
弱肉強食の世界みたいで嫌ですが、「結果がすべて」なときもあるものです。
数値に責任を負う立場の方との時間の共有は、こうした言葉づかいだけではない配慮も必要になることを忘れないようにしましょう。
“有能なWebディレクターは気づかいの塊でできている”
Webディレクターって素晴らしいですね。いえ、遠い目にはなっていませんよ。もちろん気も遠くなっていませんよ。でもちょっと胃は痛いですかね。
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