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『BANANA FISH』のしんどさがオーバーラップした、映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観ての振り返り

非日常を見せてくれるものが好きだ。

アイドルのコンサートやディズニーランドのようなとことんキラキラに特化した世界はもちろん、必ずしもそうでなくて良い。”自分の日常にはないもの”ができるだけリアルに作りこまれた世界を見るのが大好き。例えその非日常がしんどさを伴うものだったとしても好き。

なおしんどいといえばBANANAFISH!BANANAFISHといえばしんどい!なオタクなのだが、

あれは実生活に支障が出るレベルなので(最終話のあとリアルに寝込んだ)BANANAFISHレベルのしんど作品は数年に1作くらいのペースが望ましい。

わかりやすいところだと呪術廻戦とか、チェンソーマンくらいの軽いしんどさ(?)がすき。全部MAPPAやないか。

そしてキラキラ非日常でもしんどい非日常でも、これは……!という非日常コンテンツと出逢ったとき、それらを生み出したクリエイターの人たちに思いを馳せる。

たぶん、変なメタ目線なんて持たずに作品をそのまま受け取ってもらえた方がクリエイター冥利にはつきるんじゃないかなとは思うけど、このコンテンツは彼らのすさまじい「想像力」から生まれてきたんだと思うと、そのあまりの途方もなさにいてもたってもいられなくなってくる。

クリエイティビティとかものづくりって、手先が器用とか絵がうまいとか何かと「技術」にフォーカスされがちだけれど、わたしはすべてのものづくりは「想像力」の賜物だと思っている。

創造力ではなく、文字通り想像力。存在しないもの、目に見えないものを想像する力。

キラキラ非日常より、しんどい非日常のほうがより想像力が必要な気がする。というか、想像力の詰まった非日常は、しんどさを生みやすい気がする。世界観や登場人物が作りこまれていればいるほど、その設定や心情が真に迫って心が揺さぶられるわけだから。

この世界で生きていたらそりゃそうなっちゃうよね。この人はこういう人だから、こういう行動をしちゃうよね。に説得力がないと、いくら悲劇的なシナリオでもしんどさは生まれない気がする。「いやそうはならんやろ」が入る隙を与えないために必要不可欠なのが、そこに至るまでの道のりを緻密に作りこむための想像力なんじゃないかと思う。

自分が実際に生きてきたわけではない世界線を、自分ではない誰かの人生を、どうしてこうも濃密に描きだせるのだろう。たくさんたくさん、いろんなものや人を見てインプットすれば想像できるようになるのだろうか。

わたしには一生かかっても到底なしえない、神の所業に近いものがある気がする。だって、架空とはいえ実際1つの人生作り出しちゃってるわけなので。

そんなことを思った映画『THE FIRST SLAM DUNK』でした(前振りが壮大)

もちろん全体的な感想は胸熱!青春!最高!なんだけど、リョーちんの心情、境遇、試合中の葛藤、いや湘北メンバー対戦校メンバー(いちおう伏せる)、周りで観戦している人たち全員に至るまで、最高にかっこよくて、最高にしんどかった。あんなにバスケに命かけてる男子たちのシュート1本入るのか入んないのか毎回固唾をのんで見守るの普通にしんどいよ!最高だけど!

そもそも井上雄彦先生が天才オブ天才であり、日本が誇る有名老舗プロダクションの東映アニメーションが製作を手掛けたことも、漫画の絵のまんまぬるぬる動く3DCGが凄いとかももちろんあるけれど、

リョーちんの家族関係の描写、キャラクターそれぞれの性格やプレイスタイルに合わせたモーションモデルの方々の演技、試合が進むにつれリョーちんの前髪が崩れていく演出、沖縄の方言監修・指導にいたるまで、果てしない想像力たちから生まれた1つ1つの細かい緻密な世界観の作りこみがあるからこそ、あの2時間の間でリョーちんの17年を「一緒に生きた」感じがした。怒涛だけど心地よい疲れとともに。

そもそも、ウワ懐かし~ちっちゃい頃アニメ観てた~胸熱~くらいの、なんならキャラクターも主要の数人以外うろ覚えの、たいへん軽率な気持ちで観に行ったわたしが開始10分(体感)のオープニングで引くくらい号泣してしまったのだけど、おそらくあのオープニングの演出だけ単品で見せられても、わたしはたぶん泣いていないのではと思う。

冒頭のたった10分(体感)でこの映画は、主要キャラ以外うろ覚えの軽率ニワカなわたしをあっという間にリョーちんの人生に引きずり込んだ。お兄ちゃんのことが大好きで、ずっとあの言葉を後悔し続けているリョーちんの人生に確かな質量を感じたから、文字通り”25年ぶりに湘北のメンバーが動き出した”あの演出になんだか生命めいたものを感じて、グッと来てしまったんだと思う。

想像力からもはや生命に近しい何かを創造するクリエイターって、やっぱり神様なのでは???

という重ための感想と、「自分もまた彼らに恥じないくらいまっすぐに、好きなことに熱中しながら生きていこう……」というどえらい壮大な決意まで生まれてしまった、とにかく最高の映画だったのでした。とにかく最高だったので(2回目)終わるまでにもう1回観たいです!

(文:編集部ゆう)

最後にちょっとだけお仕事の宣伝

IT・Webクリエイター専門の転職支援サービス「HIGH-FIVE」編集部のゆうです。なんと今回、クリエイター採用のお手伝いの一環で映画『THE FIRST SLAM DUNK』にも携わられた小池隆太プロデューサーにインタビューさせていただきました!!採用の話がメインですが、スラダン製作に賭ける思いもチロッと話してくださっているので良かったら読んでください!

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