Webデザイン未経験のわたしが「ブランディング」と「販促」の狭間で葛藤し、折り合いをつけるまでの話
LP制作の中で、どうしてもブランディングと販促のデザインの違いに折り合いがつけられなかったが、それぞれの目的の違いを知り何とか納得した(?)私の葛藤を綴ります。
私はコンテンツディレクター兼社内デザイナーとして働いている、クリーク·アンド·リバー社の社員です。普段は「HIGH-FIVE」という転職エージェントサービスサイトを運営しています。
前職が接客業だった私は、クリエイティブな仕事がしたいとクリーク·アンド·リバー社へ入社したのですが、Webデザインはまったくの未経験。なので、同じチームにいる、元エンジニアであり、元Webデザイナーであり、現マーケター兼Webディレクターである上司が、一からデザインを教えてくれました。
さあ、初めてのLP制作へ!
前回UPした、「Webデザイン初心者が、LPの作り方を「テレビショッピング」からとことん学べて感動した話」を読んでいただけた方はお分かりいただけているかと思うのですが、Webデザイン未経験の私は、デザインの師匠の教えにより「ジャパネットたかた」からLPの構成を学びました。
LPは、ユーザーが買いたいと思うための要素……例えば、人々の根源的な欲求で興味を引き付ける「喚起」、その商品を買うことで得られる「結果・効果」、商品の開発についての「ストーリー」などがバランスよく盛り込まれ、ユーザーの「買いたい!」へと繋げられるように構成されていることが分かりました。
今回は学びたての構成を駆使して、練習として1枚LPを作ってみることに。
「好きな商品を売るためのLPを作ってください」というお題を出されたので、普段から愛用している化粧水の架空LPを作ることにしました。
LP制作練習①:化粧水
初めてのLP制作でしたが、事前に構成を勉強していたので、ターゲットと伝えたいこと、デザインの方向性を決めたらあっという間に完成しました。
自分の好みの余白使いができたし、情報もキレイにまとめられた気がしていて、「初めてのLP制作にしては上出来なのでは…!?」と思いながら自信を持って同じチームの先輩方にお見せしました。
お二人の反応は…
……ブランディング要素つよめ?もっと売ることを意識?
LPを制作したのだから、当然私としてはユーザーにこの商品を買ってもらうことを意識してデザインしたつもりでした。ですがお二人からはこのようなFBを頂いてしまったのです。
さらに詳細なフィードバックは以下の通りです。
LPデザインのフィードバック会はここで終了したのですが、全然納得がいかない私。大好きな化粧品について語り尽くせたし、ブランドの世界観をうまく表現できたと自信があったからこそ、どうしても「なぜ?」という気持ちが残ってしまいました。
「売るため」「目に入れるため」だけを考えたデザインってどうなの……?
それってただ文字を大きく、色を派手にするだけじゃない……?
あおる表現ってあんまり好きじゃないな……。
全然素敵じゃないし、わくわくしない……!
そもそも自分のデザインは「ブランディング要素が強い」ということだったけど、商品のことを知ってもらうためにはこれでいいんじゃないの??
と、頭の中でぐるぐる。
今回はいつものように素直に師匠のアドバイスに従うのではなく(ごめんなさい!笑)、納得いくまで考えてみることにしました。
「ブランディング」と「売ること」の違いをじっくり考えてみる
お二人からフィードバックを頂いた後、すぐさまWebで「LP ブランディング 違い」で検索。
はっ、はっきり書いてある~~~~~!
それでもちょっと難しかったので、色んなサイトを見漁り、あらためてそれぞれの違いを自分なりに定義してみました。
つまりLPの目的は、ブランドを知ってもらう、好きになってもらうことよりも、その場で買いたい!と思わせること。
だからこそデザインとしては、煽るような表現やキャッチ―な色が使われることが多い。
対して、中長期的にファンをつくり、買い続けてもらうための「ブランディング」はきれいで整ったようなデザインが多くなるため、一見両者は相反するものに見えてしまう。
でもどちらも「消費者に選んでもらう」という目的は一緒であって、両者ともに力を入れていかなければいけない。
……なるほど、改めてその違いと役割は理解できた。
そういえば「ジャパネットたかた」でも、ただ商品の素敵な映像や説明が流れているわけではなく、視聴者に魅力が伝わるよう熱心にプレゼンするセールスマンがいて、話し方に強弱をつけたり、商品の見せ方や話し手を変えたり、最後に一番のお得情報をもってきたり……
その場で買いたいと心を動かすための仕掛けがたくさんあったことを思い出しました。
商品をきれいに見せることよりも、世界観をうまく表現するよりも、この商品を買ったあなたにどんなメリットがあって、どんな未来を掴むことができるのか。そのストーリーと共に、熱のこもったセールストークをLP上でしないといけない。
それがよーーーうやく!理解できたのでした。
LP制作練習②:痩せるサプリ
つぎは「売ること」を意識して作り直してみます。ちょっと作りやすいように、健康食品系の商品に対象を変えてみました。
ブランディングと販促の違いを理解したうえで、今回私がやらなきゃいけないのは販促なのだと改めて意識しながら作成。
でも、デザインの好みでいうと圧倒的にブランディングよりの私。今までに使用したことのない太目で力強いフォント、濃い目のドロップシャドウ、煽るようなあしらい。……とにかく苦手なデザインの表現が多すぎる(泣)!
「これでいいのか?本当にこのデザインでいいのか?ださすぎないか?」と自問自答しながらの作業で、なかなか手が進みませんでした。。
ファーストビューで訴求力を上げなきゃいけないのも、価格やスペックをを分かりやすく載せなきゃいけないのも、目につくようなキャッチ―さとジャンプ率が大切なことも分かる。
分かるんですが、そもそもデザインとして素敵だと思えない。いやでも、こういうLPで数字が取れると証明されているから、同じようなデザインのLPが溢れているんだ、だからこれで正解なんだ、、と、もう大葛藤。
これ、ほかの企業はデザイナーさんが分かれていたりするのかな。。使う頭が違いすぎて切り替えるのが大変すぎました。。
それでもなんとか作り上げた新しいLPを再度チーム内で見てもらうと、「前よりも訴求力があがった!」と高評価をいただけました。とりあえずLPとして使えるようなものはできたみたいです。良かった……!のか?(笑)
「ブランディング」と「販促」の違いは分かったけど……
LP制作をきっかけにブランディングと販促の違いについて学ぶことができました。販促LPに必要な考え方も、デザイン表現も分かりました。それでもやっぱりブランディングよりの綺麗なデザインが好きで、そんなLPは作れないものなのかと思っている私もいます。
……でも!
私の仕事は商業デザイナー。自分の好きな世界観を表現した作品を作るアーティストではなく、目的や数字、言語化できる根拠に基づいてアウトプットするデザイナーでなくてはいけません。
ブランディングも販促も大事にできるデザイナーになるために、ここは一旦!折り合いをつけて頑張りたいと思います。
(それでもいつかおしゃれ~な販促LPを作ってみたいと思うのでした。)
文:編集部かな