Webデザイナーの転身や年収アップにつながる意外なスキルとは?
はじめに
今回の執筆クリエイターは、ブランディングテクノロジー株式会社にてクリエイティブディレクター/ブランドデザイナーを務められている松井 寛志さん。今回は、松井さん自身が年収アップのタイミングで身につけていたスキルや意識していたことについてご紹介いただきます。
**********************************************************************************
将来的な転身を検討しているWebデザイナーの方であれば、キャリアアップのためにスキルや資格の取得を目指しているかもしれません。Webデザイナーの仕事では、Webサイト制作における視覚化(ビジュアル面)に注力することが多いでしょう。もちろん、デザインにおいて見た目は非常に重要ですが、それ以外のスキルや資格を身につけることで、視野が広がったり、新しいキャリアへの道が拓けたりすることもあるかもしれません。
僕自身もクリエイティブディレクターやブランドデザイナーとして仕事をする中で、Webデザイナー時代とは異なる視点で取り組むようになった経緯があります。それがクリエイティブ要素に重要なコピーを考えるなどの「言語化」に関する業務です。また、今回は僕自身が年収アップのタイミングで身につけていたスキルや意識していたことについても併せて紹介します。
◆イメージを「視覚化」することでコミュニケーションエラーを解決!
僕はブランド・プランナー協会で講師を務めていますが、講義の際にも視覚化の重要性を多くの方に伝えています。Webデザイナーとして活躍している方であれば、Webサイトのビジュアル面に関しては相当なこだわりを持っていると思います。しかし、「デザインが介在する価値」を具体的に説明できない方も意外と多いのではないでしょうか。まずは「デザインの力」という側面において、すでに多くの方が身につけている能力を棚卸ししましょう。
ビジネスにおいてデザインがもっとも活躍するシーンが「コミュニケーションエラーの解消」です。世の中でリリースしている成果物の中には、内容と印象が合ってものが結構あると思います。たとえば、営業が使用しているPowerPointの提案書。すごく良い内容のはずなのに、なぜか目に止まらない、詳細が頭に入ってこないという経験はないでしょうか。ホワイトペーパーの場合も、業務マニュアルみたいなビジュアルだとあまり読みたいとは思わないですよね。このようにビジネスでは、コミュニケーションエラーが頻繁に起こります。
それが、デザインが入ってイメージを明確に視覚化した途端に印象が180度変わることは珍しくありません。同じ内容でも見せ方が変わるだけで、ビフォーアフターで違う印象を受けるから不思議です。デザイナーが入って調整するだけでも提案書の読まれ方は変わります。コミュニケーションエラーをデザインの力で解決できるだけに、デザイナーはビジネスにおいてもっと広範囲で価値を示せる職業だと思いますし、より多方面で活躍される方が増えることを楽しみにしています。
◆デザイナーは「視覚化」がメインだけど、「言語化」も重要な能力
デザインの価値をより多くの方に知ってもらうために「視覚化」の重要性を発信していますが、ブランディングに関わったことで「デザイナーも言語化を意識したほうがいい」と思うようになったのは発見でしたね。ブランディングに関わると、デザイナーにコピーの意見が求められたり、コピーの微修正をしたりすることがあります。「言語化」はライターの役目だと一般的には考えられています。ただ、ライターだけが言葉を考えるわけではないとも思っています。自身の領域を限定せずに、チャレンジしてみる価値はありますね。
デザイナーがコピー領域を学ぶことは、投資対効果が非常に高いと思います。自分で書くことで初めて気づけることがありますし、言葉にすると理解が曖昧な部分が明確になり、学習項目の選定も容易になります。もちろん、ライターのように立派な文章を作れなくても大丈夫です。見出しや短めなコピーを作ることから挑戦し、ライターとの掛け合いから言語化のエッセンスを学ぶことはすごく有益だと思います。そうすれば、成果物においてビジュアル面だけでなく、より広義において自分事に捉えることができるはずです。
デザイナーだけど「言語化」も学びたいという方は、ブランド・プランナー協会の講座をおすすめします。ブランドを考えたりコピーを考えたり、プランナーとしてブランディングへの関わり方が学べます。また、ブランドを育てるという観点においては、ブランド・マネージャー認定協会の講座もおすすめです。うちの競合に当たりますが、「ブランドをいかに育てるか」という異なる角度からブランディングを学べる点において、素晴らしい講座だと思います。何事も自分の役割に線引きをせず、幅広い領域にチャレンジすることが大切になりますね。
◆年収アップを目指すうえで意識すべき「レバレッジ」と「ビジネス構造」の理解
言語化を意識することで僕自身もクリエイターとしての幅がかなり広がったと思いますが、Webデザイナーが年収アップを目指すうえで意識すべきポイントとしては2つあると思っています。それが「レバレッジ」と「ビジネス構造」の理解です。
ビジネスにおけるレバレッジとは、小さな労力で大きな成果を得ることの意味合いで使われますが、自身の役割を「ビジネス上で数値の価値」で捉える考え方が重要になります。たとえば、制作中のWebサイトが100人に見られるのか、1万人に見られるのかで力を入れるポイントは異なります。自分の能力をどこにフォーカスするべきなのか、俯瞰の視点を持つことで制作への意識が大きく変わるでしょう。
「ビジネス構造」については、お客様がお金を払ってることを忘れないことが挙げられます。当たり前のように思えますが、お客様が払った対価が会社の売上、利益になり、自分の給料になることを前提に捉えられていないケースが散見されます。ビジネスの構造を理解し、「顧客から求められているニーズにどれだけ応えられているか」を理解することで、自身の仕事がどこで価値を生んでお金になっているかをより明確にできるのではないでしょうか。そのため、転身する際に成長している市場やサービスを見極めることも大切です。