「めんどくさい」から始まる時間・タスク管理の崩壊。自分と自分の才能を守るためのWebクリエイター習慣術
はじめに
クリエイターに特化したビジネス書があってもいいじゃないか――。
仕事に関わる技術やキャリアだけでなく、疲れが取れる休み方、遊び方などの体調管理など。人生を効率的に・豊かに過ごすための「生活術」や「仕事術」をクリエイターの実例を通じてお伝えしていきます。
VUCAの時代において、プロジェクトはますます複雑化してきました。複雑化に伴いプロジェクトに関わる人数も増えてきますが、そういった案件での「無駄な時間」のほとんどは、企業間の文化や仕事の進め方の違いなどによって生まれます。そのため、何よりもはじめにリソースに関わる情報の整理が求められます。
時間・タスク管理はプロジェクトを円滑に進めていくうえで必須の作業ですが、同時に「自分を守る」うえでとても重要な役割を果たします。言い換えれば、時間・タスク管理が疎かになると、プロジェクト関係者だけでなく、自分自身も大変な事態に陥る可能性があるということ。
そこで押さえておきたいのが、時間・タスク管理に欠かせない「コミュニケーション」「型をつくる」「助けてもらう力」という3つのポイントです。
時間・タスク管理をするうえで大切にしたい「コミュニケーション」
時間管理をするのは「良いものを創るため」「自分を守るため」
私が代表を務める株式会社ポイントでは、「良いものを創るため」「自分を守るため」双方の観点から、スケジュール・タスクの進捗管理をすごく大切に取り扱っています。
「良いものを創るため」の時間管理の重要性
良いものを創るためには、何事にもフローが必要です。車づくりを例にしても、市場調査、全体設計、耐久性テストなど、何段階ものフローを実行しないと「良いもの」を生み出せません。
短納期を要求されるケースのほとんどは、いきなり“成果物化”することを強要された場合ではないでしょうか。即日対応や短期作業を積み重ねていくと、すごく些細な本質的ではない詰め作業にフォーカスされ、「そもそも何だっけ?」といった話をすることが増えます。そして、ミスの連鎖にもつながってしまいます。
そういった方々と接する際は、そもそものフローを説明するなどしっかりコミュニケーションを取りましょう。「良いもの」を創るためにも、そして「餅は餅屋」というスタンスをハッキリさせるためにも、チームにおける時間・タスク管理に関わるコミュニケーションがすごく大切です。
「自分を守るため」に、コミュニケーションを大切にする
仕事をご一緒するのが実はレガシースキームの会社(担当者)だった場合、力でねじ伏せようとしてくる場合や、ドラスティックに継続性の低い方法で利益を追求してくる場合が多いです。そういったケースに備え、一定の距離を置くためにも、リソース(時間、タスク、人員)の見える化のために、社内コミュニケーションを取りましょう。困ってしまう前に自分のできる範囲を見極め、具体的に上司に相談してください。
自分で抱え込んでしまうと、クライアントと上司の板挟みになります。いくら可能性の高い環境や、可能性の高いクリエイターであっても、近い将来、離職を考えるきっかけになってしまいます。
【株式会社ポイントでの実践例】具体的な時間管理・コミュニケーション方法
株式会社ポイントでは、時間・タスク管理のために次のようなコミュニケーションの場を設けています。
具体的な数値などに基づいてコミュニケーションすることを大切にし、スケジュール・タスク管理を通したコミュケーションで、個人を守ることを徹底しています。
時間管理で重要な集中力。「型をつくる」ことで向上できる
「型をつくる」とはつまり、習慣のようなものです。人間の特性である「習慣」を活用したほうがストレスも少なく、集中力の向上につながります。
集中力や生産性を削ぐ「面倒なこと」。型をつくることで解決
なぜ型をつくることが大切なのかというと、それもやはり「自分を守るため」になります。どんな大義を成すにも、一見面倒だと感じることにもコツコツ取り組む必要がありますが、多くの場合その「面倒なこと」を前に集中力や生産性が下がってしまったり、避けたりします。それはとてももったいないことだと感じます。
なぜ面倒だと感じてしまうのか?
面倒だと感じてしまう理由は至ってシンプル。それは、「人がやりたがらない」からです。
例えば、ターゲットを絞ったポータルサイトを構築する際、目的に合わせた機能を組み合わせるうえで「調査」はすごく大切なフェーズです。一方で目に見えづらいことでもあり、物質価値を重んじる人は「作業価値がない」とみなすケースも多くあります。
これだけDXが叫ばれている世界情勢でも、日本におけるITリテラシーは、
「わからない=面倒なこと」
「理解できない=面倒なこと」
以上のようなロジックになっています。日本の大半の会社で、そういったケースが横行していると考えて物事に取り組んだほうが建設的です。
「面倒」から逃げないために「型をつくる」
一定の基準を常に自分のなかで持ち続け、間違ったマジョリティから身を守る防御策として、「型をつくる」という考え方を大切にしています。先ほどのポータルサイトの構築を例にすると、「調査」を制作の型のなかで重要なフェーズとして取り入れたり、あるいは「朝の1時間を調査にあてる」など時間的な型のなかに取り入れたりすることです。
人間の「習慣」の力を利用することで、面倒ではなくなるどころか、その重要性に気づくきっかけになるかもしれません。
「型をつくる」ために、「習慣」の力を利用する
私は1日のタイムスケジュールを、自分なりに快適に進められるよう型をつくっています。習慣化できていなかった時期は半ば強制的にスケジュールを守るようにしていましたが、今やすっかり日常となりました。
こちらが私の1日です。
日によって少し異なることもありますが、肝となるスキームは常に押さえています。このあたりの進め方がゴチャゴチャになると、人間の習慣化の法則から考察するに、自分自身のやる気や集中力を継続するのが難しくなってくると感じます。
残業を避けるためにも「助けてもらう力」を伸ばす
ポイント社で実施している手書きでのスケジュール管理
株式会社ポイントでは、入社したての方や客観的な視座が乏しい方には、始業前に手書きでタスクに対して掛かる時間を明記し、把握してもらっています。
手書きで行うことの最大のメリットは、自分と向き合う時間をつくれる点です。客観性が乏しい方は、ビジネスで成功する確率がグッと下がってしまうものです。自分の強み、弱み、そして新しく覚えるべきことなど、少しの行動のなかにも迷いが生まれ続けると、「排気ガス生産機」になってしまうことがあり、周りの風土まで乱してしまいます。
人に助けてもらうためには、まずは自分を客観的に把握すること
私は貢献度よりも風土を優先すべきだと考えています。「素直で良い人」といった資質を重視し、そういう人たちと関わるように努めています。ただし、素直で良い人であっても、経験が少なければ予想していたよりもタスクを完了するのに時間が掛かることが多く、「予測がつかない状況が続く→残業になる」というロジックから逃れられなくなります。
そういった事態が続くと自信喪失にもつながるため、人に助けてもらうためにも、早い段階から自身の能力を客観的に把握する必要があります。だからこそ、始業時に全容を捉えてもらうことを徹底しています。
部下の時間・タスク管理を見守る立場にある方へ
自分の会社を始めたばかりの頃、私は部下に対して“怒る”という簡単な解決方法に手を出していました。私も聖人ではないのですが、いろんな経験を経て、今ではピンチの際に怒ることはなくなり、代わりに鼓舞できるようになりました。
上司の立場として部下と良い関係を築くため、そして部下に最大限パフォーマンスを発揮してもらうためのおすすめの方法を、最後にご紹介します。
自分の尺度の
上司になりたて、あるいはプロジェクトをまとめる立場になりたての場合、どうしても生産効率の物差しを自分の尺度で測りがちです。自分ができるスピード・精度の30~50%前後の尺度で、寛容に見守ることをおすすめします。
部下の言葉に耳を傾ける
部下が自分のやり方を勧めた際に、それが会社の効率化に貢献できる方法であれば一回チャレンジすべきです。頭ごなしに否定したり怒ったりするのは止めましょう。そういった組織で陥りがちなのが、「怒る・怒られる」の関係になり、誰もミーティングや会議で発言しなくなるという状況です。
怒りの感情がわいたら冷静になるまで時間を置く
忙しい状況では、誰でも怒りの感情に陥ることがあります。そういった感情に支配されたときは、一旦冷静になれるまで相手に待ってもらいましょう。建設的な方針をすり合わせるためにも、素直になることをおすすめします。
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