「そんなスケジュール聞いてませんけど」を防ぐ、“握り”の重要性『Webディレクターのスケジュール管理』
はじめに
クリエイターに特化したビジネス書があってもいいじゃないか――。
仕事に関わる技術やキャリアだけでなく、疲れが取れる休み方、遊び方などの体調管理など。人生を効率的に・豊かに過ごすための「生活術」や「仕事術」をクリエイターの実例を通じてお伝えしていきます。
チーム全体の進行管理を行うのもWebディレクターの重要な役割のひとつです。スケジュール通りに進まないと、クライアントやクリエイターを含めたチーム全体に迷惑を掛けることになってしまいます。
とはいえ、多くの人が関わるプロジェクトでスケジュール通りに制作を進めるのはなかなか難しいものです。
スケジュール管理をスムーズに行うにはどうしたら良いでしょうか。ポイントとなるのは、「いかにスケジュールを握れるか」です。
日頃からとにかく逆算に慣れること
ディレクターとして日が浅く、全体管理にまだ慣れていない時期にやってしまいがちなのが「工数ありき」でスケジュールを組んでしまうことです。そうすると、少しのトラブルで思わぬ誤算が生まれるもの。
工数はあくまでも制作に最低限掛かる時間ですので、あまりきっちりと組んでしまうのはおすすめできません。不測の事態が起こることを想定した、ある程度のバッファを見込んだ余裕のあるスケジュールを組むようにしましょう。
おおまかなステップはシンプルです。
1. まずはお尻(納品日やサービスのローンチ日)を決める。
2. そこからどうしても期間が短くできないタスクを決める。
3. そして最後に「どの工数で納めないといけないのか」を決める。
もちろん、それによってチームメンバーに多少の無理や負荷が掛かる場合もあります。チームメンバーにちゃんとお願いをして、士気を下げずに走り切ることも忘れてはなりません。マネジメントもディレクターのスケジュール管理のひとつと心得てください。
クライアントとの折衝の際に気をつけたいこと
よく陥りがちなのが「クライアント=お客様」という考え方です。
なんでもイエスマンになってしまうと、それではプロジェクトを上手く回すことができません。
あくまでも「クライアントとはプロジェクトを完成させる、並走するパートナーである」というスタンスに立つこと。
そういったクライアントとの距離感、そしてスケジュールの握り方が大切になってきます。
それではどのように「握る」のか、具体的に説明します。
ちょっと項目が多くなりましたが、日々注意していくことで相手に振り回されずにスケジューリングができるようになってくるでしょう。
クリエイターも同じ「パートナー」
同じように、クリエイターも並走するパートナーであることを忘れてはなりません。
プロジェクトはどこかひとつのパーツが欠けても完成しません。
ディレクターはその鎹(かすがい)であり、潤滑油です。
自分だけでなく、全体が使いやすいツール選びも大切なポイントです。
クリエイターとのスケジュール調整で注意したいのが、体調不良や不慮の事故などによる納期の延期です。
そうした場合に替えの効かないスケジュールを組んでしまうと、クリエイターもクライアントも困ります。スケジュールをつくる際には、工数よりバッファを持たせた設定をしましょう。
また、代替となるクリエイターとのつながりをもっておくことも、重要なWebディレクターの役割です。
おすすめのスケジュール管理ツール
最近ではシンプルで使いやすい「Trello」などの海外クラウドツールも増えていますが、私は意外にアナログなので、直感的に使えて視覚的にもわかりやすい日本のツールが好みです。
現在はスケジュール組みに必要なガントチャートをつくるのが簡単な「Brabio!」を主に使用しています。ガントチャートはエクセルでつくっている方もいますが、よくリスケジュールが発生する現場では、都度つくり直しをするのが大変だったりします。
「Brabio!」は、マウス操作で簡単にガントチャートがつくれるので気に入っています。しかも導入費用も安く、5人までのプロジェクトであれば無料で使用できるのもうれしいポイント。
業務委託や派遣先で導入を申請する際にも、費用が安いことは大きなメリットになります。
そして一番気に入っている機能が、ガントチャートの「一発エクセル出力」。エクスポートでちゃんとウィンドウ固定されたエクセルファイルをダウンロードできるんです!
これは本当に便利です。
クラウドサービスなので、動作もサクサクです。
大事なメールが埋もれてしまう!そんなときには「To Doリスト」を活用
ビジネスマンが1日に受信するメールの平均数は50通を超えるとも言われています。
組織の内部・外部ともに連絡の機会が多いWebディレクターの方は、もっと多くのメールを送受信しているのではないでしょうか。
受信メールのなかには、一度名刺交換をしただけの方やその企業からのメルマガ、またセミナーなどに参加するとより多くのメールが届いていたりするものです。
大切なメールが、メーラーのタイムラインからこぼれてしまうこともしばしば。
そんなときに、Googleのサービスのひとつである「Gmail」には非常に便利な機能があるのでご紹介します。それが「To Do」という機能です。
ご存知の方も多いかと思いますが、Gmailは「カレンダー」「Keep(メモ)」「To Do(タスク管理)」などと連動しており、メールの画面の右側に表示できます。
通常「To Do」はその右側の画面からやることをリストとして登録するのですが、重要かつ対応しなければならないメールがあった場合、メールのリスト上で右クリックし、「開く」メニューから「To Doリストに追加」をクリックすると、そのメールの内容が含まれたリストが自動的に追加されるのです。
意外と気づいていない人が多いこの機能は、不要なメールを削除する作業を省けますし、今すぐ返信できないメールの抜け漏れを防ぐのにも役立ちます。
まだ使ったことのない方は、ぜひ一度試してみてください。
手帳との併用も効果的
数か月~1年ほど掛かる大きな規模のプロジェクトに携わる場合には、全体スケジュールを手帳で俯瞰し、日々のタスクをクラウドツールで補完するのもおすすめです。
開発の遅れでリスケジュールの発生しやすい長期のスケジュールには、修正履歴も残せる「手書きのもの」を、残す必要性があまりない細かなタスクはクラウドなどパソコンで管理するイメージです。
手帳は付箋などを併用できる点も便利です。
私の場合、付箋のなかに必要な「タスク」や「連絡先」を記入し、それを実行する日(「連絡先」の場合には連絡を入れる日)に貼り付けます。付箋ですから、リスケジュールが発生した際には貼り直すだけで済みます。
人によっては、パソコン内だけで完結したい方もいますし、手書きが性に合っているという方もいると思います。今は時間管理やタスク管理に長けたさまざまなツールや手帳がありますから、いろんな方法を試して、自身に合った方法で効率的な管理ができるようになると良いですね。
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