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伸び悩むWebサイトの打開策とは?マーケティングワークフレームを活用した、自社サイトリニューアルのプロセスを丸ごと公開します

Webサイトを運営していくなかで必ず売上や応募数が伸び悩んでしまう時期があると思います。僕らもそうでした。クリエイティブ領域に特化した求職者を集客するWebサイトを運営していますが、リリースから2年経ち「事業の方向性」「ユーザーニーズ」「運営リソース」など様々な変化がありWebサイトが追いつきませんでした。まずこれら課題を解決しようということでサイトリニューアルを企画しました。その結果・・・

応募数は約500%UP、応募者のマッチングも大きく改善

今回は、伸び悩むWebサイト運営で打開策を探している人に、当社Webサイトのリニューアル事例を余すことなく公開します。求人サイトに限らずECやオウンドメディアでも使えるはずです。少しでもお役に立てれば嬉しいです。※ちなみにすべて自前で制作会社や代理店はいれてません。

マーケティングワークフレームって使ってる?

マーケティングワークフレームを本で読んだから知ってる、見たこととあるって人は多いのですが、実務できちんと使えてる人はあまり見たことがありません。マーケティングワークフレームを実際に使いながら、Webサイトの企画から運用まで整理していきます。PEST、3C、SWOT、5F、STPといった分析に落とし込み整理できればターゲットに的確な情報やビジュアル、クリエイティブを届けることができます

事業戦略を考えるにしても、Webサイトを作るにしても、コンテンツを作るにしても、経営戦略とのすり合わせは欠かせません。事業が抱える課題を把握し、Webサイトを使って何を解決していくのかフレームを使って整理しておく必要があります。

まずは、「UXリサーチ」をきっかけにホームページリニューアル企画がスタートします。「環境分析」についてみていきましょう。

環境分析からはじめよう

環境分析とは、市場・業界、競合などの動向を分析し、自社の状況や環境を把握し整理します。それによく用いられるのがPEST分析、5F分析、3C分析、それらを整理するSWOT分析などがあります。
これによって僕らが狙うべき市場やポジション、発信していくメッセージなどが見えてきます。

環境の分析

5F分析:自社の外部環境を以下の5つの要因に分けて分析

・競合他社の脅威:当社より認知がある、広告費をバンバンつかってる。
・代替品の脅威:求職者がSNSなどで探せる、ヘッドハント
・新規参入者の脅威:オウンドメディア、自社採用サイト
・買い手の交渉力:レッドオーシャンで選択肢が多く選んでもらえない
・売り手の交渉力:人材不足で売り手市場

3C分析:市場・顧客、自社、競合を分析

・Customer:社会的意義、パーパスなどに関心が高い
・Competitor:大量求人、ドライ
・Company:クリエイターファースト、泥臭さ、”ものつくり”を知っている

PESTの分析要素も追加

そこにPESTの分析要素も追加。ユーザー志向(社会的意義や自己実現など)見えてきます。「なぜこのような志向を持っているのか」が腹落ちします。背景にはPEST要素と繋がることが多々ありますよね。「時代を読む力」が大事です。

Politics(政治):世界情勢の不安・戦争など
Economy(経済):円安、パンデミックによる鈍化、人材不足、DX、クリエイターエコノミー、パーパスなど
Society(社会):Society5.0、IT人材不足、多様化、体験UX重視、SDGsなど
Technology(技術):NFT、DX、5G、IT化、ブロックチェーン、情報時代など

SWOT分析で整理

そしてこれまでの情報をSWOT分析で整理していくんだけど、今回はマトリクスでの整理や行いませんでした。付箋を使いながらシンプルな言語化を目的にまとめていきました。

SWOT分析:自社の事業の状況等を整理する
・強み(Strengths):エモさ、寄り添う、泥臭い、厳選求人、選考目線
・弱み(Weaknesses):求人は少ない→厳選している、認知低い
・機会(Opportunities):初回は大手、いつも2番手、ユーザー生息地は?
・脅威(Threats):シニア層はエージェント使わない、ダイレクトスカウト

UXリサーチ 潜在・顕在ユーザーインタビュー

僕らのユーザーである”転職を検討しているWebクリエイターの現状把握”がとても大切で、環境分析を通じて彼らが「いつ」「どこで」「だれが」「どうした」を知る必要がありました。

UXリサーチにて潜在・顕在ユーザーそれぞれ数名にインタビューを行い、そこから「競合」「ユーザー」に関する情報を収集しました。
実施してホントに良かったことは、企画・運営側で仮説を立てていたものから大きく乖離してるものもありました。改めてユーザーインタビューの重要性を再認識。「答えは顧客が持っている」ですね。

この調査で見えてきたこととして、僕らのターゲットだと仮説を立てていた方について、実は「市場にはいない」「エージェントサービスを使っていない」「情報収集チャネルが違う」「かなりドライな思考」などがあり、逆に僕らのサービスを必要としてくれる人も見えてきました。

転職を考えるクリエイターの中には、志向性の違いでマーケットが分かれてくることを再認識。僕らの強みである「クリエイター専門」をさらに要素分解していき言語化をしていきます。クリエイターの信頼を得るには、”クリエイティブのことを知っている”ことを提示し、バックグラウンドもお見せできるようにしたいなーと。それが信用(過去)となり、信頼(未来)へつながっていきます。

僕らは「だれをどうやって助けたいのか?」

ここまで整理してくると「自分たちは何者か?強みは?弱みは?」そして「誰をどうやって助けたいのか?」も見えてきますので、それを”言語化”していきます。

STPでまとめていこう

Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)という分析方法ですね。Webサイトを運営していくうえで、自社およびそのサービスの市場における立ち位置を明確化しておくと、その後の戦略を策定・実行しやすくなります。

セグメンテーション

調査・分析した市場を細分化し、自社のマーケティング戦略の対象として強みを生かしやすい市場なのかを検討します。

人口動態軸(年齢・性別・職業):Webクリエイター、経験者
地理軸:東京を中心とした関東圏、大阪など大都市
社会心理学軸:ライフスタイル・価値観・パーソナリティ・転職動機
行動軸:転職活動・心理など個人の行動に焦点を当てた情報

ターゲティング

セグメンテーションで細分化された市場の中から、僕らのターゲットに据える市場を選びます。サービスの強みが生かされるような市場、自社のカルチャーやブランドイメージなどに合致した市場を選択します。僕らは「集中型マーケティング」手法になります。

集中型マーケティング:市場を絞り込んだうえで経営資源を投じることで、特定の顧客に対して最大限にアピール
差別型マーケティング:複数の市場に対して、それぞれのニーズに合致した製品を提供する手法
無差別型マーケティング:セグメンテーションにより細分化された市場を無視する形で、さまざまな市場に対して同じ製品を提供する手法

東大IPC引用

ポジショニング

僕らはポジショニングマップを使いながらセグメンテーション、ターゲティングも同時に進めていきました。

STP分析でポジションを確認していく

競合のキャラクターを確認しながら自社強みが活かせるポジショニングを探していきます。
こちらの記事で詳しく書きましたのでお時間あればあわせてどうぞ。

4象限の軸を変えながらパターンを何枚もつくります。

といった感じで、UXリサーチから得られた情報からPEST、3C、SWOT、5F、STPといったツール分析に落とし込むところまでをお話ししました。
ここまで整理されていれば、迷走した時も立ち返れる軸ができます

やっとWebサイトリニューアルのスタート地点に立てました。
ひとつ注意。コンセプトをしっかり作ったが故にコンセプトを疑わなくなってしまうのも怖いです。ある程度運営してみて良くも悪くも反響がとれたらコンセプトから見直す勇気も必要な時もありますので柔軟に進めていきましょう。

以上です。ここまで読んでいただきありがとうございます。
僕らのプロジェクト企画をそのままお伝えしていますが、これをみて、マーケティングツールを活用してみようかな・・・と思っていただけたらうれしいです。

自己紹介:あべひであき
元システムエンジニア(もう無理)→フリーランスWebデザイナー→バイトで広告代理店に入社して役員→toB企業で日本初のベンチャービズネス立ち上げ→(現在)クリーク・アンド・リバー社|マーケティング、Webディレクター、オウンドメディア企画・編集|企画アイディア出しが得意|空手・ギター・プラモ製作・庭いじり・ネコ・お笑い


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