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コンテンツの言葉遣いは身近で具体的に?メディア運用担当に求めたいワードチョイス

◆このnoteに書いてあること
①読者に伝わりやすい言葉を意識的に選ぶことが重要
②編集部側のリテラシーだけを基準に企画や構成、出演者の人選を行わない
③検索母数より出演者やユーザーが望むワードチョイスをする

はじめに

今回の執筆クリエイターは、LIFULL STORIESの編集長を務められている田中めぐみさん。メディア運用担当者が最も気を付けるべき、「発信するコンテンツにおいてのワードチョイス」について解説していただきます。

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日常生活におけるコミュニケーションにおいて伝え方、特にワードチョイスに苦労したことはないでしょうか。家族、恋人、友人とのやり取りにおいて、言葉選びを間違えたことによって関係性がこじれたり、仲たがいしてしたりした経験がある方も多いでしょう。身近な人とのコミュニケーションでもそうしたボタンの掛け違いや認識のズレが生じるだけに、メディアの情報発信においては誤解や自己解釈が横行するのも無理はありません。
 
だからこそメディア運用担当者は、発信するコンテンツにおいてのワードチョイスに気をつける必要があります。それは、単に炎上を避けるためという理由だけではありません。メディアや事業のことをより深く理解してもらうためにも、読者に伝わりやすい言葉を意識的に選ぶことが重要になります。なぜなら、分かりやすさはメディアやコンテンツに対する共感につながりやすいからです。

◆キャッチーな言葉が刺さるのは心の共感があるから

メディア運用をするうえで気をつけなければならないことの1つに、編集部側のリテラシーだけを基準に企画や構成、出演者の人選を行わないことが挙げられます。オウンドメディアは企業が発信したいメッセージをもとにコンテンツが作られますが、コンテンツマーケティングがプル型を基本としていることを忘れてはなりません。いかに読者の心に届き、響いてくれるのか――そうした読者視点を常に持ち合わせることが不可欠と言えます。
 
当社が運用する「LIFULL STORIES」で考えると、メディアのコミュニケーションコンセプトである「しなきゃ、なんてない。」を表現するために、多くの記事タイトルは末尾を「~しなきゃ、なんてない。」で統一しています。この言い回しは読者にはあまり馴染みのない表現です。そのため、そのタイトルの中で使う単語には専門用語をなるべく使わず、より身近で、より具体的な言葉遣いをすることを意識しています。
 
情報発信においては、ワードセンスや語彙力が不可欠です。しかし、何よりも「メッセージがいかに心に残るか」を重要視しています。キャッチーな言葉が刺さりやすいのは、読者が共感していることの一種の表れです。より多くの読者に共感してもらえるように、より身近で分かりやすい表現に見せられるかにはこだわりを持っています。細かいところでは、コンセプトページをより噛み砕いた表現の内容にしたり、サイト内のカテゴリータイトルを英語から日本語に変えたりするなど、既存コンテンツにおいてもより伝わりやすくするべく、試行錯誤を重ねています。

◆口語的でより分かりやすい言葉を吟味して選定

分かりやすい表現、読者が理解しやすい表現と言っても、具体的なイメージが湧かない方もいるかもしれません。そこで1つおすすめの方法として紹介したいのが、会話の中で使いそうな言葉、「口語的な言葉」を意識して拾うことです。文面に小難しい内容が並んでいると、そのコンテンツを読む気が失せてしまう方も中にはいるでしょう。だからこそ、なるべくありふれた、身近にある言葉を採用することを心がけています。
 
たとえば、「"なんでも屋"になると損をする、なんてない。」という記事を例に挙げてみましょう。硬い表現だと、器用貧乏という言葉が当てはまるはずです。ただ、なんでも屋という表現のほうが何となく口語で使われているイメージが湧きませんか?このワードチョイスに決定的な理屈は存在しませんが、語呂や響きの感覚を大切にすることも読者視点に寄り添うことにつながっていると考えます。
 
他にも災害に対する考え方についても、「震災」というのか、「被災」というのかでちょっとしたニュアンスですが、意味合いが変わってきます。コンテンツに応じて一番分かりやすくフィットしている内容を選ぶことが重要です。本当に細かいことではありますが、「育児」がいいのか、「子育て」がいいのかなど、題材によって言葉を使い分けることも珍しくありません。

◆検索母数より出演者やユーザーが望むワードチョイスを

その他に言葉選びで気をつけているのは、インタビュイーの意に背く言葉を使用しないことです。たとえば、「トランスジェンダー」と「LGBTQ」だとしたら、どちらの表現が適切かを悩む時もあります。もしかしたら、検索ボリューム的には「トランスジェンダー」かもしれませんが、インタビュイーがその言い方をされたくないという場合は、絶対に使用しません。インタビュイーの意向に沿う形で調整し、取材を受けていただいた方に不快な思いをさせないように気をつけつつ、気持ちに寄り添うことも意識しています。
 
また、偏った見方を助長していないかどうかも大切な観点です。たとえば、誰かを被害者や加害者にしないことをメディア内で徹底しています。引きこもりや不登校を題材とした記事があった場合、その原因について探ることはしないようにしています。「〜のせいで」みたいな書き方はNGですね。ひょっとしたらその関係者・当事者もこの記事を見ているかもしれないですし、誰かを悪者にしたり、悲しませたり、不快にさせたりすることは厳禁です。
 
ワードチョイス1つで、その内容で傷つく方がいるかもしれません。だからこそLIFULL編集部内では、常に「あらゆるLIFEを、FULLに。」という観点を大切にしたうえで、表現方法で迷った際はメンバーや第三者、または専門家に意見を聞くなどしてかなり厳密に、注意深くチェックしています。

【執筆クリエイター】
LIFULL STORIES編集長
田中 めぐみ 
2008年入社以降、コーポレートコミュニケーション、企業ブランド戦略立案・実施に従事。2017年のLIFULL社名変更プロジェクトメンバーとして活動し、2018年にオウンドメディア「LIFULL STORIES」を立ち上げる。オウンドメディアを通して、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というLIFULLのコーポレートメッセージや企業姿勢を伝えることを目的としている。「LIFULL STORIES」のコンセプトは、「しなきゃ、なんてない。」

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